ガイド船長講座 その2 メンテナンス※メーカー、ディーラーでもすぐにはわからなかった、エンジンが突然にかからなくなる原因とは?

船にはメンテナンスがかかせませんが、特に重要なのはエンジンメンテナンスです。

エンジンのメンテナンスは船長の仕事です。
エンジンに不具合があれば、海で漂流します。
とても重要な仕事であり、一朝一夕で備わる技術ではありません。
日々の積み重ねが大切な仕事です。

車のようにJAFも来てくれないので、基本的には自分で対処しなければならず、エンジンの状態把握や基本的なトラブル対処はできないと、自分を含めた乗員の命を危険に晒します。

エンジンのメンテナンスは、基本的なこと以外は、ディーラーや専門の整備士に依頼するべきものだと思います。
ある程度、基本的なメンテナンスルーチン、オイル交換や、アノード、インペラの交換などは自分でできるとしても、例えば高圧燃料ポンプの交換や、ヘッドを開けるタペットクリアランスなどは、かなり専門的なチェック、段階的な試験を必要とするもので、素人がやると壊してしまい、戻せなくなる可能性があります。

ただ、それでも島に住んでいるなどの場合、近くにディーラーがない、整備士がいない、という状況がおうおうにしてあり、自分でそうした専門的なメンテナンスをせざるを得ない状況もありえます。

この記事では、基本的なメンテナンスルーチンを解説するとともに、専門的なメンテナンスをどうしたらいいかについても解説したいと思います。

サービスマニュアルと電話窓口

サービスマニュアルとは、エンジンのメンテナンスについて詳しい手順がかかれたものです。
サービスマニュアルは本来、非売品で、船外機ディーラーなどが整備のために配布されるもののようです。
説明書とは別のものです。パーツリストとも別のものです。

こういう感じのものです。

船を買う時に、サービスマニュアルをもらわなければいけません。
サービスマニュアルがないと、正直、どうしようもありません。

そのため、通常、ネットでAmazonなどで売っているわけではありません。
買う時に「交渉」しないといけません。

売ってくれない場合もあるので、買う前に確認しないといけません。

エンジンの型番ごとにサービスマニュアルがありますし、製造年月日ごとにマイナーチェンジをしていますので、製造年月日にあわせたサービスマニュアルが必要です。

また、マニュアルだけでは分からないこともあるので、メーカーの窓口電話番号をおさえておくことも必要です。
メーカーの窓口は、エンジンの説明書などに書いてあることが多いです。

基本メンテナンス

定期的なメンテナンとしては

エンジンオイル交換 100時間ごと
エンジンオイルエレメント交換 200時間ごと
ギアオイル交換 200時間ごと
インペラ交換 400時間ごと
燃料フィルター交換 1年ごと
アノードチェック・交換 3分1がけずれていたら
プラグ交換 半年ごと(プラグ部分の色と端子の削れ具合を見ながら)
可動部分の給脂

があります。

時間はメーカー推奨値ですが、実際にこの通りにやると、オイル代がかなり高くなります。
私は時々、オイルの汚れ具合をチェックしながら、基本的にはこの倍でやっています。

ただ、あまりにも長い時間、交換しないでおくと、エンジンオイルの場合は、ピストンリングが摩耗して、リング交換となった場合、エンジンをすべて開ける作業をしなければならず、かえって高くつきます。

ギアオイルもギアが削れるまでほおっておけば、ロワーケース交換となり、20万~30万円ぐらいかかります。

インペラにいたっては、劣化してとれたかけらが、冷却水経路を塞げば、エンジンを完全にバラしてオーバーホールしないといけません。

なので、特に初めのうち、やったことないうちは早めにやっておいたほうが、よいかと思います。
エンジンのメンテナンスは思いの外時間がかかることが多く、部品が足りなかったり、工具がたりなかったりで、最初のうちは難儀すると思います。

はじめてやる前に、ユーチューブの動画で、他の人のやり方をみたりして、全体の流れをなんとなくつかんだほうがいいです。
同じメーカーの同じ型番のエンジンの動画があればいいですが、なければ、ちかしい動画を参考にします。

また、必要な工具を揃えておくことです。
またオイル交換の際は、オイルが床面や地面、海を汚さないように下にダンボールや布を敷いたり、ビニールで被うなどの配慮が必要です。

上記のうち、エンジンオイルは、船を上げなくても、係留したまま行うことができますが、あとのふたつは陸揚げしないとできないので、長期的な計画が必要です。

不定期メンテナンス

不定期メンテナンスは対処療法になります。

問題が起きたら行います。

今まであったこととしては

・ギアオイルシール交換
・ロワーケースオーバーホール(ディーラーに送る)
・高圧燃料ポンプの交換

などです。

ギアオイルシール交換

浅瀬にペラをぶつけてしまったことがあり、その後、ギアオイルが交換のたびに白濁するようになりました。

オイルが白濁するというのは、水の混入が原因ですので、どこからか水が入っていることが考えられました。

オイルシールの交換をまずは試しましたが、交換しても白濁はとまりません。

ちなみにオイルシールの交換は、かなり大変で、分かりづらいです。

その後、ロワーケースの予備を購入し、ギアオイルが白濁したロワーケースはディーラーに送ると、プロペラシャフトが1mほど、ずれていることがわかり、これが原因だろうということがわかりました。

あとで、直したものを送ってもらい、それを取り付けると白濁は止まりました。

ロワーケース自体は20万前後のものなので、予備をひとつおいておくと、こうしたときに手早く対処できますし、結果として、そちらのほうが安上がりでした。

予備をもっておき、内地に送れるものは送って、修理してもらうのがいいと思います。

高圧燃料ポンプの交換

一時期、ふたつあるエンジンのひとつがかかりにくい時期がありました。

ブローバイガスの清掃、燃料フィルターの交換、いろんなことを試しましたが、改善しませんでした。

半年ぐらいかけて、ようやくわかったのが、高圧燃料ポンプ内にある、ブラシの毛がとれて、つまっているという状況でした。

これは、島の整備士さん、周りの船長さん、船を作ったメーカーもわからず、エンジンのディーラー自身が分かるのにも半年のやりとりが必要でした。

話としてはこうです。

ガソリンがなくなると、ガス欠となり、エンジンはとまりますが、その際、今まで動いていたエンジンが急に止まりますので、熱い状態のエンジンが急に止まることになります。

すると、エンジンの真ん中部分にある高圧燃料ポンプが冷やされずに、その中にあるブラシの毛が一部溶けたり、とれたりして、それが噴射部分(インジェクター)にいく前の部分でつまるというのです。

対処としては、高圧燃料ポンプを交換することで、改善したのですが、その原因を専門家の誰もがすぐには分からないということに、驚きました。

それぐらい、船外機、船のエンジンというのは、専門家でもわかりにくいものであるということです。
理由としては車ほど使っているほどが多いわけではないので、事例、情報の絶対数が少ないことが原因だと思います。

船のメーカーには、ガソリンタンクをもう少し大きめにしてもらえないかと話をしていたのですが、船のメーカーが「ガソリンがなくなったら、エンジンがとまるだけですから、それでエンジンがいたむことはないです。また補給すればいいだけの話です。」と言われ、小さなガソリンタンクと中くらいのガソリンタンクを2つづつ4つ積むことになりました。

しかし、これが仇となりました。

タンクが小さいと、こまめにチェックしてないとガス欠を起こしやすく、特にスピードを出しているときにこれをやると、先に書いたよう、高圧燃料ポンプのブラシが摩耗し、溶けるのです。
ガソリンメーターは、タンクにしかついていないため、毎回後部ハッチを開けないと残量が確認できません。

これは明らかな設計ミスです。

メーカーも、ガス欠によるエンジンストップがエンジンにダメージを与えることを把握していなかったということになります。

エンジンと会話する

日々、操船するなかで、エンジンの音に違和感はないか、エンジンオイルの減りは速くないか、いつもと違うことはないかを、感覚的に感じておく必要があります。

そのためにも、なるべく基本メンテナンスは船長自身がやるべきです。

エンジン部分以外のメンテナンス

エンジン以外にもメンテナンスをすべきところはいくつかあります。

トレーラー

画像の説明

ボートトレーラーは台風の際に船をあげたり、上に揚げないとメンテナンスできないことをするために必ず必要なものです。

船を購入し、島にもってきたときに、まだトレーラーがなく、台風のたびに、重機で上げ下げしてもらっていました。

かなり安くしてもらったと思いますが、それでも決して安くはない金額がかかります。

トレーラーを探しましたが、すぐに見つかるかと思いましたが、10m重さ2tの船を乗せられるトレーラーというのは、探してみれば分かりますが、まず売ってません。

中古でも、新品でも売っていません。

沖縄で作っているところがありましたが、沖縄から本土、本土から、小笠原となるととんでもない送料がかかります。

結局、買ったのはアメリカ中古を日本におろしている輸入販売会社で、購入費110万円、これに送料を加えると150万ぐらいかかりました。

これでも安い部類なのです。アルミでできているので錆びる心配がないのが助かりました。

そして、到着してすぐに使えるかというとそんなこともなく、前輪部分が錆びてしまっていて、乗せられない状態でした。

トレーラージャッキを購入して、取り付けてみましたが、とても2tの重さに耐えられるものではありません。

結局、10万弱する船台用の可動式前輪をボルトで取り付けました。

枕木も縦方向にあるものをすべて外して横向きに取り付けました。

また、長さが1mほど足りなかったので、エクステンションをとりつけました。

それでようやく、船を揚げられるようになったころには台風のシーズンはおわっていました。

画像の説明

これも使うたびに海水につかるので、その都度、鉄部分、車軸、車輪部分を水で洗わないと錆びてしまい、動かなくなります。
トレーラーも定期的にメンテナンスしないと、特に車軸部分は錆びやすくなっています。
船を乗せている場合は、タイヤに荷重がかかるため、タイヤ近くを枕木などで、タイヤ接地面より1cm弱、ジャッキアップします。
これをしないと、タイヤのバルブが飛ぶそうです。

オーニング

画像の説明

屋根部分ですが、最初のこの写真にある斜めの部分がなく、船が衝撃があるたびに、オーニングが左右に激しく揺れていました。

それをみた他の船長の全員がこれは早く補強しないと、屋根がもげると言いました。
以下の動画はまだオーニングの補強をしていないときに撮影したものです。

ただ、ステンレスの溶接は、スチールに比べて融点が低くて難しく、素人がやると穴があいてしまうとのこと。
職人がやるにしても、既に取り付けたものをまた外してやるか、つけたままの場合は、下から上を見上げる形で行うのは難易度が高く、
難儀していましたが、

このパーツ

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デッキオーニング オプション/アフターパーツ クランプ式ジョイントスタンドパイプ用

という名前でステンレス棒合わせて2万円ほどで補強することができました。
これもネジ部分がスチールなので、定期的にメンテしないと外れます。

トイレ

画像の説明

トイレはわりと詰まりやすいです。

紙を一気に流すとすぐつまるので、なるべくお客様には、少しづつ紙を流すようにお願いしていますが、たまにモーター自体が動かなくなります。

モータの予備は買ってありますが、電圧チェックをしていくと、問題があるのはモーターではなくスイッチのほうだということで、スイッチを交換すると、直りました。

で、スイッチを交換するときに、配電盤や、電線工事をしないといけません。

電線と電線をくっつけるということが、最初、どうすればいいかなかなかわかりませんが、ギボシ端子というのを使うと、簡単にできます。

接触部分に問題がなければ、接続部分を残したまま、コードを切り、コード同士をギボシ端子で繋げると楽です。

今回はスイッチそのものがだめだったので、この方法でいけました。

 

ほか、日々の点検とメンテナンスはこちらが役立ちます。

http://www.jci.go.jp/jikomanual/pdf/maintenance_outboard.pdf

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